歴史と子連れ旅

元学芸員の子連れ旅ときどき歴史。最近「お母さんて看板(説明板とか)ですぐ止まるよね」と言われます。

大和市下鶴間ふるさと館ー宿場の商家住宅に黒船を描いた幕末の落書

近世の街道・宿場の景観が想像できる歴史スポット

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大和市といえば米軍基地と住宅街があってーというイメージで、歴史的な面白みというかもう開発されちゃってないでしょ!と勝手に思っていました。旦那さんから「大和市の資料館行ったことないから行ってみよう」と言われなければ行く気も起こらなかったかもしれないくらいで。

 

ところが、行ってみると歴史的に興味深い場所で、予備知識入れてから行けばよかったなーと少し後悔。江戸時代の宿場とか興味ある人にはおすすめのスポットです。

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行き先:大和市下鶴間ふるさと館

人員:父母+子

交通:自家用車

 

矢倉沢往還下鶴間宿の商家 旧小倉家住宅

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大和市下鶴間ふるさと館は、東海道脇街道だった矢倉沢往還の宿場町、下鶴間宿にあった商家小倉家の建物。このような宿場の商家建築は神奈川県内では希少なのだそうです。

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入館料は通常無料で、訪ねた日は雛人形のひな壇が展示されていました。

 

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征露丸」などの薬の展示。ここは雑貨商だったそうですが、薬の品揃えが豊富だったようです。当時のこの街で需要が高かったのでしょうかね。

 

幕末に伊豆からきた職人の落書き?黒船や相撲力士も。

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個人的に一番の見どころはこれ。修繕の時に発見されたという、母屋の座敷床板の裏側に描かれた落書です。

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書かれている文字には「安政三年」「豆州賀茂郡仁科庄 石田利三良」。静岡東部出身の自分にはちょっと身近に感じられる地名でもあり。(あれ、仁科って近世も賀茂郡でしたっけ?ちょっとあいまいで後で調)

 

以下、窓側だったので光が入りうまく撮影できず申し訳ないです。ご興味あればぜひ現地で。

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そこに描かれていた落書の中には、黒船が描かれているのです。

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黒船は日米和親条約の締結に伴い嘉永7年(安政元年)には下田港へ何度か寄稿します。落書を書いた人が仁科の人なら、海の黒船を見かけた、あるいは寄港しているのを見物に行ったかもしれません。

仕事の合間に、仲間に「黒船みたんだぜ!こんな形だったんだぜ!」と話のタネにしたのかな~?など、いろいろ想像してしまう。興味深い展示でした。

 

立地は矢倉沢往還沿い 当時の景観を思い浮かべ・・・るかも

だいたい矢倉沢往還ってシラネーヨ!とお思いの方すみません。詳しくは↓

矢倉沢往還 - Wikipedia

ここ大和市や、厚木、箱根、足柄峠から静岡県小山町まで通っていたとされる街道です。街道沿いは個人的に縁のある土地だらけでちょっとテンションが違うのお許しください。

この下鶴間ふるさと館は、矢倉沢往還の道沿いにあります。敷地の外へ出ると、すぐにその道です。

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建物の中にあるジオラマと見比べてみると、近世の様子が想像できるのではないでしょうか。白い矢印で示されているのが、このふるさと館になっている小倉家の位置です。

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左に曲がる坂があるのでわかりやすいですよね。先に見える大きな家は何だろう?と思ったら名主家でした。こちらは個人宅で見られません。

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高札場も再現されてます。

 

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敷地は広くないので展示はすぐに見終わってしまうのですが、訪ねた日は天気の良い日だったこともあり、のどかで雰囲気の良い施設でした。特別な展示をしている日以外は通常無料なのがうれしいですね。

 

近くには「つる舞の里歴史資料館」も

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近くには、 つる舞の里歴史資料館も。

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こちらは、展示室のスペースが狭くて見るものはあっという間に終わってしまいます。考古と、近現代の東急電鉄による開発の歴史の分量が多め。中世はジオラマもありました。こちらもひな祭りの展示期間中だったので、華やかです。

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公式サイトに「外観は幕末から明治初頭の農家をモチーフとしたもので、内部の意匠は農家の庭、納屋、土蔵というイメー ジ」とあるように、外装・内装ともに懐かしい雰囲気の凝ったものになっています。たぶん収蔵庫と思われる場所や、トイレにも(笑)

 

それにしても、基地と住宅街の町と思っていた大和市で(ほんと申し訳ないです)、こんな歴史スポットがあるとは。今回は行かなかったのですが、大和市には他に江戸時代の民家を再現した「郷土民家園」もあります。こちらも時間があったら行ってみたいです。

 

詳細は公式サイトへ

大和市/大和市下鶴間ふるさと館

大和市/つる舞の里歴史資料館